ドクター本多の相談室

院長コラム

No.6 ヒトの食性

前回は我々のわずか二世代前のほとんどの人の食事が、「ごはんに一汁二菜」といったいわゆる「粗食」であったにもかかわらず、健康で強靭な体力の持ち主であったことが、2人の外国人博士の残した文献からわかったことをお話いたしました。
この「粗食」といわれる食体系は、太古の昔からほとんど変わることなく連綿と親から子へ孫へと、「食術」として受け継がれてきました。
この食術があっという間に跡形もなく崩壊したのが第2次大戦後です。
それとともに癌や糖尿病・心疾患・歯周病といった生活習慣病が急増してきたのです。
このようにあまりにも急激に食体系を変えてしまった民族は、日本をおいて他にはあまり見当たりません。その結果、我々は現在「食べることに自信をなくしている」ように思えます。

今から15年ほど前に、当時、秋田大学医学部教授(現在は神戸山手大学教授)の島田彰夫先生から「ヒトの食性」について大変興味深いお話を聞かせていただきましたのでご紹介したいと思います。

「食性」とは、それぞれの動物が元来何を食べるようにできているかということで、ライオンが木の葉を食べたり、ウサギが肉を食べたりすることはありません。
人間をヒトという動物としてみたとき、肉も野菜も食べる「雑食性」といわれていますが、果たして本当でしょうか?

ヒトの形態と機能を見ていくと、まず爪は平爪といって肉食獣のように先がとがっていません。
この爪で何か動物を捕らえることができるでしょうか?
歯の形態も肉食獣のように全部が錘のようにとがっていません。
わずかにとがっているのは32本の歯のうち4本の犬歯だけです。
このような歯でウシやブタの皮を食い破り、肉をちぎることが出来るでしょうか?
感覚器官は食物発見のための重要な器官ですが、聴覚や臭覚は肉食獣に比べ著しく劣っています。
運動能力も腕力や脚力は特に優れているわけでなく、逃げていく動物を追いかけて捕まえることはほとんど不可能でしょう。

このようなヒトが道具も武器もなしに手に入れられる食べ物は「動かず、襲ってこないようなもの」、すなわち植物以外考えられません。

また、ヒトの体の中ではデンプンを分解するアミラーゼという酵素が、最初の消化器官である口に分泌する唾液の中と、胃を通過してから分泌される膵液の中と2回も出てくることから、穀類やイモ類のようなデンプン含量の多いものが基本食料となることが考えられます。
イネやサトイモ・ムギ・アワ・ヒエなどの雑穀、ダイズを始めとする豆類の起源が熱帯から温帯までであり、ヒトの起源と一致していることから考えても、これらを主に食べてきたことが容易に推察されます。
またヒトが霊長類の最高位に位置しているというのであれば、図から考えると完全な「草食性」と言えなければなりません。

☆参考文献:
「身土不二を考える」 島田彰夫著 無明舎出版
「食べることに自身をなくした日本人」 島田彰夫著 芽ばえ社

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