ドクター本多の相談室

院長コラム

No.4 歯周病と松枯れ問題

歯周病が日常生活に起因する「生活習慣病」の1つであることを前回お話いたしました。
そこで今回は少し視点を変えて歯周病を考えてみることにします。

関越自動車道を車で走っているとその脇の松林の葉が一様に赤く枯れているのをよく目にします。
この「松枯れ」はいまから30年以上前から全国的に発生し、問題になりました。松の葉についた「松くい虫」の大量発生が原因とわかり、その「松くい虫」を殺すためにヘリコプターを使って殺虫剤の空中散布が行政主導で行われました。
しかし、「松枯れ」は止まるどころか進行する一方で、大気を汚染しただけで全く効果はありませんでした。
そしてそれは今でも進行中です。
なぜでしょうか?

それは松が生きられる条件を考えれば誰でもわかります。

松という植物は「海沿いの岩場の一本松」のように

  • ①日当たりがよい
  • ②風通しがよい
  • ③土地が肥えていない、

といった条件を満たした所で初めて生き生きと生息できるのです。
これが長い年月を経て松林になるとこれらと全く反対の環境になってしまいます。
すなわち林になることで

  • ①日当たりが悪く
  • ②風通しが悪く
  • ③落ち葉がたまって土地が肥える、

といった前述した育成条件がすべて失われてしまうのです。
そこで「元来松にくっついていて共生していた松くい虫」が大量発生して「松枯れ」を起こしてしまったのです。
この様な状態になってしまった松にいくら殺虫剤をかけたところで根本的な解決になるわけがありません。
このことを踏まえてお話をお口の中に戻しましょう。

歯周病の原因である「歯周病菌」は、コレラやペスト菌・インフルエンザウィルスなどのように外からやってきて口の中に住みついたものではなく、元々誰の口の中にも必ずいる「口腔内常在菌」であると今までお話してきました。
つまり、口の中にいてあたりまえの微生物なのです。
松と松くい虫の関係と同じです。
この「口腔内常在菌」(松くい虫)にやられてしまうということは、その人(松)の生きられる条件がすでに失われつつあると考えられないでしょうか?
ですから前回お話したように、ブラッシングや歯石除去、デンタルリンスに歯磨き剤、各種の歯ブラシやデンタルフロスといったあらゆる武器を使っても歯周病が減少しないのです。

次回からは「ヒト」という動物の生きられる条件について考えてみることにします。

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